研究概要 |
本年度の計画のうちで最も重要なものは, 既設ライダーを利用して, ラマン散乱に利用する近紫外線のレーザ光を発振可能にすること, 及びラマン散乱光を検出するための2次元アレイ素子(イメージインテンシファイアー付きのフォトダイオード素子を組合わせたもの)を中心としたラマン散乱光検出部の開発と建設であった. 1, 近紫外線の発振は, 既設のライダーの第2高調波をRDAによって発振させることで可能になった. 2, 本研究では, 水蒸気に特有なラマン散乱光強度を受信することに加えて水蒸気分子のポリマーや水滴, 氷粒子の識別技術の開発も目ざしている. そのため, 特定の散乱線の強度のみを計ることに加えて, ある波長帯にわたって散乱光の強度を波長の関数(散乱光スペクトル)として計測する必要がある. 検出感度をイメージインテンシファイアで向上させたフォトダイオードアレイ素子を用いれば, そのことは可能になる. 本年度は関商事製のTN6130を購入し, 検出部を製作した. 信号処理部が装備されていないため充分な実験は行っていないが, テスト光として室内の各種の照明用ランプからの光や, 自然光を受光し, これらのスペクルをもとに検出部のテストを行ってきた. テストの結果は, 良好で, 次年度に信号処理部を開発し総合的なテストと調整が可能になろう. 3, 過去の気象ゾンデによって得られた水蒸気観測結果の解析を行い, レーザレーダによって計測可能な領域を推定した.
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