本年度は、信号処理関係の装置の購入、単体での試験的運用を行なった。ラマン散乱ライダーに組み込んだ場合、予定どおりの機能を発揮すると判定された。その後、前年度に購入した装置と組合せて、ラマン散乱信号受信を試験的に開始することが出来た。 現在水蒸気のラマン散乱ラインに限って、観測を継続中である。これまでのところ、対流圏中部までであれば、時間分解能5分から10分、距離分解能1km程度で高度分布が得られている。これと比較できる(この手法と異なる方法で得られた)観測値が無いため、結果の精度等について突っ込んだ吟味が出来ないが、地上近くがかなり混合比が高く上空へいくにしたがって水蒸気混合比が減少して行く傾向は、一般的に予想されている傾向と極めて良く一致している。また、時として、水蒸気濃度が層状をなして濃淡を持つ高度分布を示す事もある。このことも、今まで充分に確かめられてはいないが、雲の発生の様子や、時々実施された航空機観測などの結果を参照すると、おおいに有りうることと判断される。 今後、水蒸気以外の成分を同時に観測し、それらを比較検討することで、観測結果の信頼性などをチェックして行く予定である。
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