研究分担者 |
西山 忠男 九州大学, 理学部, 助手 (10156127)
中田 節也 九州大学, 理学部, 助手 (60128056)
浜本 礼子 九州大学, 理学部, 教務員 (40089917)
佐野 弘好 九州大学, 理学部, 助手 (80136423)
坂井 卓 九州大学, 理学部, 助手 (70128023)
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研究概要 |
昭和62年度は,計画の初年度のため,主要機器であるエネルギー分散形X線分析装置(EDS)の電子顕微鏡への装着,岩石切断・研磨装置の購入等を行った. EDSは主要10元素をはじめ多くの微量元素を迅速に分析することができる. 手はじめに,従来他所のEPMAで分析したのと同一の試料について数10回分析をくりかえした所,極めてよい精度と再現性を持つことが分った. そこで新たに購入したイリジウムはくを用いて,研究地域(本邦四万十帯,秩父帯,中国帯,美濃帯等)の玄武岩をガラス試料とし,研磨装置を用いて研磨し,炭素蒸着の後,EDSによって多数分析した. その結果は以下の通りである. 中国帯,美濃帯,秩父帯のかなりのものはアルカリ玄武岩であり,周辺に礁性石灰岩を伴うことから,海山であった可能性が高い. しかし一部にはソレアイト質のものも含まれる. 四万十帯のものは,大規模な岩体はソレアイト質で,これには白亜紀のNーMORB型のもの,古第三紀のFET1型のものの二区分がなされる. また小規模な岩体の多くはアルカリ岩であり,岩系と産状が対応している. それらの玄武岩のいくつかについて蛍光X線分析を行った所,アルカリ岩とされたものの多くは,いわゆるWPB(ホットスポット起源)であり,ソレアイト質岩とされたものはMORB(NおよびT)であることが分った. 以上のように,前弧域に見出される玄武岩の化学的特性とテクトニックな起源がかなり精度よく求められ,しかもそれらと産状とがよく対応していることが応った. 昭和63年度もこの作業を続け,より多くのデータを出して詳しい議論をする予定である.
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