研究概要 |
昭和62年度の主要設備機器である超伝導磁力計は, 納入設置が完了し, 関連実験装置も整備された. 63年度より, 本格的な測定作業を行うことができるようになった. 62年度においては, 測定機器の整備の他に, 本邦の白亜系推積岩類の採取及び磁化測定作業を行なった. これまでに, 四国の上部白亜系和泉層群の測定・解析作業がほぼ終了し, その結果, 我国で初めて, 上部白亜紀の連続した古地磁気層序を確立することができた. また, 和泉層群以外にも, 北海道の白亜系蝦夷層群, 西九州の白亜系姫ノ浦層群の試料採取を開始し, 一部の試料については解析が終了し, 学会・雑誌等に結果を公表した. これらの一連の研究の結果, 西南日本の中生代上部白亜系の古地磁気層序は, 和泉層群を対象とすることによって, ほぼ完成させることができた. また, 中・下部白亜系に関しては, 北海道蝦夷層群の予察的研究から, 微弱ながらも安定な磁化をもつことが判明し, 今後の超伝導磁力計を用いた測定によって, 古地磁気層序を確立することができよう. 一方, 古生層〜下部中生層に関しては, 九州山地の二畳紀〜三畳紀石炭岩を対象として, 地質調査とともに古地磁気試料を採取した. 現在, これらの石炭岩類の化石層序を再検討中であり, 63年度には集中的な測定作業を行なえるよう, 層序関係や化石年代資料を整備する予定である. こうした大量の試料測定に備えるため, 63年度には磁化測定システムの全自動化を計画している. これは超伝導磁力計と交流消磁装置を直列に連結し, マイクロコンピューターによって, 磁化測定と消磁作業を自動制御するシステムである. このシステムによって, 測定効率の飛躍的向上がはかれるほか, 短期間の実習を行なえば, 古地磁気研究者以外でも容易に測定を行なうことができる.
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