研究概要 |
本年度はKevex社製X線画像解析装置デルタIII一式を購入し, 取り付け,並びに初期調整を終え,画像解析を開始した. 本機の特徴は, 正確なEPMA分析が行えた上で,多種類の画像解析が行える点にある. 初期調整では,新機種が通常のエネルギー分散型EPMAと同等以上の精度で分析できるシステムを確立した. その上で,画像処理ソフトウェアーと粒子形状解析ソフトウェアーの性能チェックを開始した. 画像処理ソフトウェアーでは最大15元素同時にX線デジタルマッピングが可能で,それらは最大64階調のカラープイント処理が行える. この機能は組成累帯構造を呈する鉱物の多元素間の分配関係の解析に有効である. 現在,カラー階調と実際の重量%を検討中である. 粒子形状ソフトウエアーでは,X線組成データにもとづき, 個有粒子の存在比率,形状解析,またそれらの統計処理を行える. これは,従来殆んど不可能であった細粒岩石のモード分析に威力を発揮する(特に,石英と長石の識別). また,特定鉱物の配向性も統計処理できる. 現在,低変成度の結晶片岩を用いて,モード分析と定向配列の検出性能をチェック中である. 現在までに,具体的に行った研究,及び成果は次の通りである. 〈EPMA分析による岩石学的研究〉 1,沸石族鉱物の分析方法の確立(森・平島・吉原). 2,三波川変成帯の角内石を用いた熱史の解明(坂野・新正). 〈画像処理による岩石学〉 1,組成累帯構造を示す鉱物の多元素同時マッピングと元素分配関係の解析(変成岩:平島・森・坂野・新正,火山岩:巽・川本). 2,細粒変成岩のモード分析と定向配列の解析(平島・池田). 3,高温高圧合成試料の解析(森・巽).
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