研究課題/領域番号 |
62420017
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
鉱物学
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研究機関 | 徳島大学 (1988-1989) 大阪大学 (1987) |
研究代表者 |
小藤 吉郎 徳島大学, 総合科学部, 教授 (40029872)
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研究分担者 |
吉朝 郎 広島大学, 理学部, 助手 (00191536)
金丸 文一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (40029848)
斎藤 隆仁 徳島大学, 総合科学部, 助手 (60201505)
水野 清 徳島大学, 総合科学部, 教授 (40087094)
塩田 次男 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (90035337)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 固溶体 / エクサフス / X線分光法 / 鉱物 / 局所構造 / 結晶化学 |
研究概要 |
造岩鉱物、硫化鉱物、各種の金属酸化物は広く固溶体を形成し、固溶体の物性や原子的尺度のミクロ構造は、鉱物の熱・圧力履歴を反映し、固溶体の結晶化学や熱・圧力履歴の解明に重要な手懸りを与える。本研究はX線吸収端近傍の微細構造(エクサフス)の解析から、固溶している各種元素の局所構造を明らかにし、その知見に基づいて固溶体の結晶化学を明らかにすることを目的として行われた。主な成果は次のとおりである。(1)マグネシウム、鉄系のかんらん石の鉄吸収端のエクサフス解析を行い、種々の鉄固溶量の固溶体の局所構造を明らかにした。その結果、鉄の局所構造は、固溶量にほとんど依存しない。マグネシウム、鉄系のかんらん石は全領域で固溶体を形成するが、構成する元素の局所構造が、それぞれの端成分組成の局所構造とほぼ同構造をとることは、これまでの回折法では得られなかった成果である。(2)硫化鉱物キュ-バ鉱の高温形と低温形、オウドウ鉱の鉄、銅の吸収端スペクトルの解析を行い、高温形の鉄、銅の無秩序配列状態の結晶構造においても、それぞれの元素の局所構造は、秩序配列状態の結晶構造のものと等しいことを明らかにした。この結果は、秩序一無秩序転移の機構を説明するのに有力な知見である。(3)酸素のイオン導電体である三二酸化ビスマスと希土類金属(ガドリニウム)酸化物との固溶体のビスマスおよびガドリニウムの局所構造の変化と固溶量との関係を明らかにした。その結果、ホタル石型固溶体のガドリニウム組成の増加による安定性とイオン伝導率の低下はガドリニウム配位多面体のクラスタ形成により説明できる。 以上の結果、固溶体には(1)のように組成によらず、構成元素の局所構造が変化しないもの、(3)のように組成により局所構造が変化するものがあり、固溶体の組成範囲、安定性、物性と局所構造は密接な関係があることが明らかになった。
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