研究課題/領域番号 |
62420019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多田 邦雄 東京大学, 工学部, 教授 (00010710)
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研究分担者 |
村井 徹 東京大学, 工学部, 助手 (60107571)
榊 裕之 東京大学, 先端科学技術センター, 教授 (90013226)
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キーワード | 分子線エピタキシ- / GaAs@AlGaAs / 量子井戸 / 光導波路 / 光変調器 / 進行波型デバイス / バンドフィリング効果 / キャリア誘起効果 |
研究概要 |
(1)1次電気光学効果によるGaAs系方向性結合器型光変調デバイスの研究:半絶縁性のGaAs基板上にn^+ーAlGaAs下部クラッド層、アンド-プGaAsガイド層、アンド-プAlGaAs上部クラッド層をもつダブルヘテロ構造の進行波型デバイスを作製した。結合長8mmの素子で1.06μm光において、スイッチング電圧10.4V、変調帯域幅9.1GHzを得た。また、GaAs(III)基板を用いることにより、方向性結合器型光スイッチを偏光無依存動作させることができることを理論解析により明らかにした。 (2)バイポ-ラ・トランジスタ構造キャリア注入型光変調器/スイッチの研究:標記のデバイスの原理的な動作を実験的に確認するため簡単な単一ガイド型光強度変調器構造を採用し、設計・作製プロセスに種々の改良を加え、MBE法で成長したウェ-ハ上に素子作製を行ない、良好な特性を得た。これを基礎に、上記構造をX字交差構造全反射型光スイッチに適用することを検討し、素子設計・特性解析を詳細に行なった。 (3)量子井戸導波路の電界効果の研究:MBE法により作製した量子井戸構造をプレ-ナ型導波路として用いた0.88mμm光用の吸収型光変調器を試作し、印加電圧5.5Vにおいて消光比13dBを得た。更に光変調デバイスの高機能化・多機能化に有用であると考えられる量子閉じ込めポテンシャル形状の“modification"をいくつか試み、傾斜ポテンシャル量子井戸・放物線量子井戸・結合量子井戸についてその有用性を確認した。 (4)量子井戸におけるキャリア効果の研究:2次元電子と正孔との作る励起子は、多数の電子の存在下では、位相空間の占有効果とスクリ-ニングのため消滅する。この消滅効果は電子密度が(1〜2)×10^<11>cm^<-2>程度で明瞭に現れ、励起子は自由な電子ー正孔対になること、更に磁場を印加すると電子ー正孔が狭い領域でサイクロトロン運動を行なうため、励起子としての特性を回復することを見い出した。
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