研究課題/領域番号 |
62420021
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日比野 倫夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (40023139)
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研究分担者 |
内川 嘉樹 名古屋大学, 工学部, 教授 (20023260)
花井 孝明 名古屋大学, 工学部, 講師 (00156366)
杉山 せつ子 名古屋大学, 工学部, 助手 (00115586)
下山 宏 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30023261)
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キーワード | 高解像度電子顕微鏡観察 / 試料損傷 / 超高圧走査透過電子顕微鏡 / 信号電子演算 / 画像処理 / 像のSN比 |
研究概要 |
1.ノイズ除去 (1)信号電子の演算による統計ノイズの軽減 結像に用いる信号電子を入射電子数で規格化する手法により像質の改善実験を行い、理論通りの規格化の効果が得られることを実証した。薄いカ-ボン膜試料の明視野像については11倍のSN比の改善が得られ、白金微粒子については通常の方法では観察できない小さな粒子まで観察できることを明らかにし、本手法の有効性を示した。 (2)画像処理 低電子線照射量における連続した16枚の像を得て、試料ドリフトに起因する像の位置ずれを相互相関により検出し、位置合せを行ったのちに重ね合せ処理をすることにより、また相互相関により試料構造とノイズを区別し、試料構造の情報を損失することのないフィルタリング処理により、像のSN比の向上を実証した。 2.照射電流密度の損傷への影響の検討 ヘキサトリアコンタンの結晶試料について、その電子回折パタ-ン強度の照射電子量に対する変化を調べた。その結果、電流密度の高い小さな電子プロ-ブで照射する走査透過電顕モ-ドでは、低電流密度で長時間照射する通常型電顕モ-ドに比べて、試料に対する電子線照射量が等しい場合でも試料損傷が低減できることが分った。 3.試料損傷のない高解像度観察 カ-ボン薄膜中の白金微粒子の試料についての観察の結果、通常型電顕モ-ドでは、観察中に粒子の移動、統合、結晶化が急速に進み、電子線照射により試料に大きな変化が生ずるのに対し、走査透過電顕モ-ドでは、長時間の観察においても試料の変化は認められなかった。 研究経費の大部分は、電顕の正常動作に必要な部品の購入にあてた。
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