研究課題/領域番号 |
62420024
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
國尾 武 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50050985)
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研究分担者 |
山田 邦博 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40051742)
清水 眞佐男 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90051565)
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キーワード | 疲労強度 / 微小き裂 / 炭素鋼 / アルミ合金 / 低サイクル疲労 / 高サイクル疲労 / Manson-Coffin則 / マイナー則 / 非金属介在物 |
研究概要 |
微小き裂の進展過程中で最も注目すべき点は、その生成段階から、およそ十数結晶粒の寸法に至る過程及び十数結晶粒前後の寸法に達した後の巨視き裂への遷移過程にある。これらの過程の解明は、従来の線型破壊力学的評価法のみからでは、不可能な現象の典型的なものであり、材料の力学的応答あるいは、き裂進展に対する微視組織の動的応答を考慮することによって初めて可能となるべきものである。本研究では、材料として最も基本的なパーライト・フェライト鋼(PーF鋼)及びアルミ合金2017材を用いて、微小き裂進展挙動に関する実験的解析を行った。得られた結果を以下に要約する。 1.アルミ合金のSN曲線上の負荷繰返数が(2〜5)×10^7に至る範囲で、平滑材に生成するき裂を模した人工予き裂が、一旦進展を開始した後にも停留に至ることから、アルミ合金においても、本来鋼と同様に、停留き裂が存在し得る可能性がある。 2.アルミ合金の長寿命域でのき裂進展は、鋼の場合と異なる極めて遅い速度で生ずるため、き裂の停留に至る過程の把握が困難であり、このことがAl合金の疲労強度推定を困難にしている。 3.高強度鋼は本質的に介在物相当の微小穴を無数に含む欠陥材とみなすことができ、このような欠陥材の微小き裂進展特性から高強度鋼の疲労強度特性を明快に説明することができる。 4.表面き裂もしくは、内部き裂によって特徴づけられ、異なった破壊モードをもたらす塑生ひずみ間で負荷を変動させた場合、低サイクル疲労において通常成立するとされるマイナー則は、一般的には成立しない。それは、各負荷のもとでの微小き裂進展挙動あるいは、それらによってもたらされる損傷の蓄積部位が両負荷の間で異なることが基本原因である。
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