知能移動ロボット(4足歩行ロボット)についての研究は、前年度にほぼ結論は出された。歩行速度に応じて、消費エネルギ最小の評価基準で実際の犬が歩容を決めているというのも興味のある結果であったし、ロボットの場合は、更にひとつ安定性という基準を採用して制御を施すと非常になめらかな歩行が実現できたというのも新しい知見であった。 これらの歩行における知能の役割は大きく、本能のひとつというべきかもしれないが、ロボット技術からは制御における知能の利用といってよかろう。 本年度は、ロボットによる知能作業に関しての研究に力をそそいだ。 具体的には、ロボットが自ら作業計画を立てつつ、学習をも同時に行なってゆくシステムの構築を完成させた。ロボットにバランスを考慮した積み木の積み上げ作業をやらせたり、押すという作業を全然知らない初期状態から、自分が積み木を押した効果をカメラによってモニタリングすることによって、いろいろなことを学習しつつ、目標の穴の中へ積み木を押し込むという作業を行わせて、構築した「問題解決と学習を同時に並行して行うシステム」の有効性を実証した。 問題解決には次のような4段階の戦略が用いられるようになっている。(1)試行錯誤的問題解決、(2)ヒュ-リスティックを用いた問題解決、(3)手段ー目標解析(因果関係知識の利用)、(4)計画の具現化(構造化された知識の利用。こゝで、(4)から順々に適用が吟味されてゆくわけである。学習は問題解決過程の任意の場所で生じ、獲得された知識はすぐに問題解決に利用される。 このようなシステムは知識が不十分なときでも何とか目標を達成することができる。知識の量に応じて最も適切な問題解決技法を用いるなど特徴が多く、将来性が期待される。
|