研究概要 |
電力系統の大規模複雑化と共に, その解析計算には多大な労力と費用がかかるようになっており, その解説のため分割並列処理が注目されている. そこでは, 系統をいかに分割するかが大切な問題となる. そこで本研究では, まずプロセッサ間のデータ転送時間を孝慮して過渡安定度計算の系統方程式をNーR法で解く場合に, その1ステップ当りの統計算時間を最小にする不平等分割パターンを計算機上で自動的に作成するアルゴリズムを2種類開発した. ひとつの方法は, 発電機間の幾何学的距離を利用して核を形成し,ヒューリスティックな知識を用いて分枝限定法による探索による探索を行って分割する手法である. もう一つの手法は, 系統の中の切れ目となるノード(ブランチ)を検出し,それを除去してゆくことによって,系統を独立した部分グラフにして分割する方法である. そのノード(ブランチ)の検出方法は, 出発ノード集合からすべての最短経路によるノード(ブランチ)への重み付け,そのノード(ブランチ)を系統から除去したと仮定する前後での最短距離の変化分による重要度の判定から成る. このように後者の分割手法は枝分割,節点分割の両者を取り上げている. さらに,上述したように並列処理の計算時間を最小にするだけではなく,各サブシステム(地域)の需給バランスをとること, じょウ乱発生時に発電機群が同様の動き(相差角及び端子電圧)をするコヒーレンスを系統分割の中に導入した. このように本研究の分割手法は, 従来の代表的な分割手法と比較すると, 分割の探索手法の概念は新しく, また電力系統における並列処理あるいは自律分散制御という新しい制御方式にも最適な手法である. これらの分割手法の開発は, 本研究費で購入したAI用計算機VAX上におこなわれた.
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