研究課題/領域番号 |
62420029
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電力工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関根 泰次 東京大学, 工学部, 教授 (00010702)
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研究分担者 |
伊藤 春雄 東京大学, 工学部, 助手 (50010921)
小佐野 峰忠 東京大学, 工学部, 助手 (80107565)
横山 明彦 東京大学, 工学部, 助教授 (30174866)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 電力系統 / 知識工学 / 自律分散制御 / 分割並列処理 / 系統分割 / 過渡安定度 / コヒ-レンス / 固有モ-ド |
研究概要 |
電力系統の大規模複雑化と共に、その解析計算に必要とする労力や費用が増大し、また全系崩壊につながる重大事故に対する耐故障性が劣化しつつある。こうした問題を解決する有力な対策として自律分散制御方式に代表される分割並列処理が注目されている。本研究は、これまでに分割並列処理の基礎となる系統の最適分割方式に関する検討を行なってきた。こうした基礎の上に、並列処理の中でも耐故障性に優れた自律分散制御方式の確立を目指した様々な視点から研究を進めた。その内容は以下に示すように、大きく三つに分けられる。 (1)分散処理に適した動的な分割パタ-ンの生成方式の研究開発 従来の系統分割が与えられた系統構成や負荷条件に対するいわば静的なものであるのに対し、ここでは刻々と変化する系統状況に合わせて、送電線の送電容量や発電機からの有効・無効出力制御値などを満足しつつ、送電線のスイッテングによって動的にサブシステムを生成し、又は消去する分割パタ-ンの生成方式の開発をおこなった。次いで、人間の視覚による分割知識を利用したヒュ-リスティックの分割手法の開発を行ない、緊急時の事故時の系統分離に適用することができることを明らかにした。 (2)オブジェクト指向知識表現を用いた分割協調型問題解決の概念設計新しい知識工学パラダイムである「オブジェクト指向知識表現」を導入することによって分散協調型問題解決システムについて、送電線過負荷解消問題を例にとって概念設計を行ないシステムを試作し、知識の表現や管理の上でも著しい向上を実現した。 (3)分割並列型過渡安定度解析計算に適した外部系統の縮約手法の開発 本手法は、過渡安定度解析・制御において、全系のシステム行列から支配モ-ドを導きこれに関する発電機の動揺特性に着目して、コヒ-レンス発電機の同定を行ない、これにより全系を複数のサブシステムに分割し、各サブシステムから見た外部系統を計算精度を失わず縮約し、これにより計算時間の低減を計ることを可能とした。最後に、こうした解析計算の基礎となるシステム固有値の新しい分割並列求解手法の開発をおこなった。この新手法は、将来の自律分散制御方式開発の基礎となり得るものである。
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