研究概要 |
半導体集積回路は, 超高速, 超高密度の要求の従って年とともに集積化が進行している. すでに現在において, 高速動作のため消費電力を必要とする論理集積回路の集積度は, 放熱限界で制限されつつある. 本研究は, 従来研究開発の行われてきたジョゼフソン論理回路を使うクライオエレクトロニクスではなく, シリコン半導体集積回路の延長線上に, 超放熱/超冷却(〜80K)構造型デバイスの開発によって, コールドエレクトロニクス集積回路の基礎を拓くことを目的としている. 本年度は, 超放熱構造型の常温動作MOS型及びバイポーラ型集積回路の基本設計を行うために, MOS型及びバイポーラ型トランジスタの動作時の三次元過渡温度シミュレータの開発, さらに低温動作(〜80K)MOS型デバイスの最適化を行うための二次元デバイスシミュレータの開発を行った. 過渡温度シミュレーションの結果, MOS型トランジスタでは, ゲート直下の厚さわずか100A程度のチャネルにおいて, クロックパルスに従って4℃もの温度変化が生ずること, 発生した熱は主にSi基板に逃げることが明らかになッた. 特に熱伝導の悪いSOIを用いた場合. チャネル部では約10℃もの温度変化が生じること, 又ソース・ドレインにつながっているAI配線及びゲート電極が放熱径路になっていることが判明した. デバイスシミュレーションの結果, MOS型デバイスは, 80K程度で低温動作させるとチャネル厚さが室温の1/4程度になることから, 電流はデバイス表面に集中することが明らかになっている. 低温動作MOS型デバイスの最適設計, スケーリング則を決定するためのデータが蓄積されつつある. 以上述べたように, 研究計画に沿って研究は進展しており, 次年度以降の研究の見通しは立っている.
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