研究概要 |
昭和62年度は本研究の初年度であるので,本研究に関連した諸技術の調査を行うとともに準ミリ波帯をでカバーできる測定システムの構築,および,新しい計測技術の開発を行った. 以下に具体的項目を述べる. 1.インテグレーテッド・アンテナは放射素子と回路素子が一体化されている.回路素子を搭載している基板から放射素子を励振する方法について調査し, 電磁結合型励振法が従来の手法の中では優れていることが分かった. 2.一昨年より,酸化物超伝導体の研究が鋭意行われており,臨界温度の著しい上昇が図られている.本研究では超伝導体の調査を行うとともに,それをアンテナ材料として用いたときの基礎的放射特性を理論的に推定した. 3.本研究においては,精密かつ迅速な測定が極めて重要となる.そこで,45MHzから26.5GHzまでの広帯域に渡る,反射特性および伝送特性の測定が可能なネットワーク解析測定システムを構築した. 4.上記測定システムにおいては,周波数領域における反射・伝送特性のみならず時間領域における解析も可能であるなど,多くの測定機能を有している.その反面,取り扱いが複雑である.今後必要とされる各種の計測に備え,上記測定手法の習熟を行った. 5.上記測定システムでは,狭い周波数帯のデータを用いて正確に反射点の位置を推定することが困難であることが分かった.そこで,信号処理技術を用いることにより,高い分解能で反射点の位置を推定できる新しい計測技術の開発を行っている. 今後は1で述べた電磁結合型励振法について実験的および理論的に考察を進めるとともに,5で述べた新しい計測技術の性能向上を図り,今後のインテグレーテッド・アンテナの研究開発促進のための実験基盤の整備をする予定である.
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