研究概要 |
鉄筋コンクリート造梁降伏崩壊型の靭性フレームに関する終局強度型耐力設計法では, 梁の降伏によるエネルギーを消費させる崩壊機構を形成させるため, 降伏の望ましくない柱の強度の確保は重要である. しかし, 崩壊機構を形成するためには, 1術の柱脚の降伏が不可避であり, 地震時の骨組全体の転倒モーメントによる変動軸力を受ける外柱では, 変動軸力を繰返し水平力の相互作用を正しく理解する解析する方法が必要である. そこで, 断面形状と配筋の同じな鉄筋コンクリート造柱試験体(断面サイズ20×20cm, 縮尺約1/4)8体について, 荷重条件を変化させた多軸載荷実験を行なった. すなわち, 一定軸力あるいは水平復元力に比例して変動する軸力と, 1方向および2方向繰返し水平力に組合せによる一軸乃至3軸の変動力を加えた. 実験によって, 以下研究結果が得られた. (1)変動軸力および繰返し2方向水平力の間には相互作用が存在し, 柱の復元力特性の正負両側が相異する非対称な性状が現れる. 軸力の変動幅が大きいほど試験体の靭性が劣化し破壊が激しくなった. 実験観察および実験結果によって, 多軸変動力を受ける鉄筋コンクリート柱の挙動を把握することができた. (2)実験結果を使って, 軸力と水平力の相互作用を考慮する鉄筋コンクリート柱の3軸解析モデルの検証を行なった. 実験結果をモデル化した解析用の復元力特性モデル, および解析モデルの幾つかのパラメータの評価方法を提案した. (3)さらに, この解析モデルによる立体骨組の弾塑性地震応答解析プログラムを開発する作業を行なった.
|