研究概要 |
本年度は, まず知識情報作業空間の現状分析として東京, 大阪, 名古屋の代表的な新オフィスビル,インテリジェントオフィス空間の実態調査を行った. その結果, 多くの場合システムとして技術展開事項があるが, それらの効率的統合はなく, また室内環境についてもワークステーション回りの空調並びに照明環境の最適化は, 殆ど手をつけられていないことが判った. ワークステーション回りの温熱環境については, インテリジェントオフィス対応のフレキシブルな空調方式を課題に, これを内部発熱増加に対応するための大温度差空調すなわち低温空気空調によって実現するための基礎的実験を行った. 実験は, 低温吹出時のワークステーショ回りを含む室内温熱環境と空気分布についての物理測定と破験者実験により行い, 従来の吹出温度差の2倍程度の温度差すなわち18℃程度の温度差(吹出温8℃)で吹出しても, 室内は良好な温度分布に保たれること, また被験者による温熱感,快適感申告によっても, 良好な温熱環境が実現されていることが確認され, 低温空気空調は十分に可能性があることが判った. 照明環境については, VDT作業時の作業者自身の画面への映り込みと, その原因となる作業者の顔の見え方(モデリング)に焦点をあてて実験を行った. 実験では天井照明や側光の量, ディスプレイ面上の文字輝度を変化させ, 文字の見やすさ, 人の顔の見え方についてのアンケートを行うと共に, 各種照度や輝度などの物理測定を行い, これらの結果を因子分析した. その結果, CRTディスプレイの文字の輝度は高い方がよく, また側光が強いほど作業位置での照度を高くした方がよいことが判った. また, モデリングについては, 光の方向性(質)よりも量による影響の方が大きかった. 情報システムの特性分析については, 上述の現状分析により情報処理, 分配システムについての知見を得た.
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