研究概要 |
溶接継手の疲れ強さの改善法として、雰囲気の調整、止端部へのエポキシ樹脂塗布の効果、亜鉛メッキの際のA_1点直下への加熱急冷による時効効果およびレーザ照射による止端部形状の改善について検討がなされて来たが、本研究では軟鋼のI形鋼(長さ840mm、ウェブ高さ150mm,フランジ幅75mm)を用いて、そのアーク溶接継手部にA_1点直下の加熱急冷時効処理、エポキシ樹脂塗布及びレーザ再溶融処理を施し、大型部材の疲れ強さに及ぼす各種止端部処理の影響を調べた。その結果、A_1点直下急冷時効処理した部材およびエポキシ樹脂塗布により、溶接のままの部材に対しいくらかの疲れ強さの改善が認められた。しかし、小型試験片の実験で著しい疲れ強さの向上が認められたレーザ再溶融処理による疲れ強さの向上は認められず、むしろ、溶接のままの部材に比べて低下する結果となった。この原因としては、レーザ照射条件が用いた鋼材にとって不適切であったためと思われる。すなわち、レーザ照射による溶接止端部を再溶融したにもかかわらず、止端の非直線性のため、十分に止端半径を拡大し、応力集中を改善することができない局部が生じ、止端部の硬化も伴なって疲れ強さの低下が生じたと判断される。 今後レーザ照射条件及び用いる加工光学系によりいかに溶接継手の疲れ強さが変化するか、詳細な検討が必要である。 なお、本年度は最終年度としての研究成果のまとめも行った。
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