研究概要 |
形状記憶合金の溶接については, TiーNi系合金(Tiー50.8Ni合金)を用いて実験を行なった. 真空チャンバー内に板厚1mmの試料を拘束治具で拘束し10^<-4>Torrまで排気後, Arガスを導入することにより, 1気圧の状態で, アーク電圧9V, アーク長1.5mm, 溶接電流25〜50A, 溶接速度170mm/min, 電極棒直径3.2mmの条件を選定し, T.I.G.溶接法(極性はDC溶接棒マイナス)により溶接を行なった. 上記すべての溶接条件で, ビード表面は凹凸が少なく, ビード幅のむらもなく, きれいな波状模様を示し, 溶け込みを良好なことが判明した. ビード幅は溶接入熱の増加と共に大略直線的に増加し, 溶接部の硬さ分布は, 一般にボンド部で低い値を示すが, 溶接入熱の大きな場合は特異な硬さ分布を示す. また, 溶接継手部の引張り強さ(ビードに垂直方向)は約90kgf/mm^2で, 溶接熱量の増加と共に若干増加する. 金属とセラミックスの拡散溶接は, TiとSiCについて, 17.5φ×5mmtのディスク状のSiCをはさむように2箇のTiを配置し, 2〜7×10^<-4>Torrの真空中で, 接合温度930〜1050℃, 保持時間30〜180min, 加圧0.1〜10kg/mm^2冷却速度約5℃/minで直接拡散溶接を行なった. SiCとTiとの熱膨張差による応力により, セラミックスが破壊されたり, 界面で分離する場合が生じた. さらにX線解析の結果, Ti測表面にTi_5Si_3とTiCが生成されることが判明した. つぎにSiCとTiの間にA6063アルミニウム合金をインサート合金として用い, 620〜660℃の温度で溶接した場合, 650℃の場合で溶接した場合の継手強度が一番高く, 7.82kgf/mm^2であった. 昭和62年度購入したオートグラフ(コンピューター計測制御式精密万能試験機)は特に祥細な引張強度の測定の必要な本実験には有効であり, 同じく購入したサーモレットプログラマブルコントローラーは拡張溶接及び形状記憶合金の記憶熱処理に不可欠なものであった.
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