研究概要 |
今年度整備した食味計のほか, 諸計器類を使用し, 高水分籾の脱ぷ,玄米乾燥,調製加工法の新技術について検討した. 米の収獲移処理に関する研究成果は, 次のとおりである. 1.生籾の脱ぷ-インペラ形籾すり機による籾水分と脱ぷ率の関係は, 水分が高くなるにつれて脱ぷ率が低下するが, 95%以上の脱ぷ率を確保するためには, 平均水分22%以下に予備乾燥をする必要がある. 収獲生籾中の水分ばらつきは標準偏差で5〜6%存在するため, 平均水分表示では供試材料による差が大きい. 従って,水分偏差を明示した実験内容とすべきである. また水分が高くなると,肌ずれや胚芽の脱落が1次関数的に増加するが, 平均水分22%のもので約30%生ずる. しかし, 精米歩留りへの影響は少ない. 2.生玄米の乾燥ー同一乾燥条件下で籾と玄米を比較すると,玄米の方がかなり早い速度で乾く. しかし,玄米は胴割れの発生が容易であるので,初期の乾燥速度は5%/h(d.b.)程度にとどめるべきである(初期含水率35%までの材料). なお,この時の送風空気条件は30℃,75%R.H.に制御する必要があるが,省エネルギー,食味向上の面から有効な方法である. 具体的にはヒートポンプの活用を検討している. 3.食味計による評価ー高水分籾の高温乾燥(40℃以上)は食味低下となることを指摘してきたが,食味計による測定結果でも明らかとなった. また,収獲時期による食味変化の測定では,適期刈りと晩刈りでは差がみられなかった. 従来から早刈りが奨励されてきたが,晩刈りは立毛中の籾水分が低くなるので,乾燥上から有利である. 4.新たな知見ー脱ぷ率は屑米と水分偏差の影響を受けるので,原料条件を明らかにする必要がある. 肌ずれ米や胚芽脱落米は完全な玄米に比較し乾燥が早くなることなどが判明した.
|