研究概要 |
本年度は, 破壊面の三次元形状解析を行い, 一対の破壊面の形状解析データをコンピューターで処理, 操作することにより材料内部の破壊機構を詳細に再現するFRASTA技法のための種々のコンピュータープログラムを開発した. 第一のプログラムは, 走査電子顕微鏡で作成された破壊面の一対の立体写真から作られた等高線図の数値データを収納した磁気テープからデータを読み取り, デスク・トップ・コンピュターに転送し, 保存用のデケットを作成し, また, 201X201の格子を破壊面上に置きこれらの格子点での高度を算出する為のものである. このプログラムは, 名古屋工業大学の大型電子計を使用して行われる201X201の格子点の高度を計算するに要する時間は約15分である. 第二のプログラムは, 一対の破壊面の201×201の格子データ2セットをパソコン(NECPC9801またはマッキントッシュII)で読み込み, 三次元形状の基準面の間隔を操作し, 物体が重なり合うようにし, その後, 増分的に一方の破面を他の破面に対して引き上げ, 各増分的引き上げ後全面を走査し, ギャップが出来たかどうかを調べギャップがあればその位置とギャップの大きさを記録し, 透視的に図示するものである. このプログラムはギャップ面積が全体の破面で占める割合も計算できる様にした. さらに, 破壊面に垂直に切断し, その横断面内で両破面がどの様に接合し, 開きがあるときは, 破面の開口度を図示し, 計算できるようにした. 現在, 作成したプログラムは, 全体の流れの効率化を計らなければならないが, FRASTA技法は使用可能となった. FRASTA技法は, セラミックスの破壊機構の解明, 圧力容器の熱疲労による亀裂の進展の解析, 厚板溶接部の破壊強度のばらつきの原因解明等に応用されている.
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