研究概要 |
ドプラーフリーレーザー分光法の一つである偏光飽和分光法を開発し, 状態間相互作用が比較的強いNa_2分子の15565cm^<-1>付近のA^1Σu^+(υ=8)状態とb^3πa(υ=14)状態との摂動領域について研究を行なった. その結果1.A^1Σu^+状態とb^3π_<ON>状態間のスピン軌道相互作用の大きさを9.マクス cm^<-1>と0.001cm^<ー1>の高精度で決定した. 2.b^3π_<ON>(υ=14,J±1)←X^1Σg^+(υ=0.5)遷移の遷移強度は励起状態に^1Σ^+性がどの位あるかに依存して決ることを正確にした. 3.スペクトル線の分裂は超微細相互作用によるもので, その大きさは^3πu状態の混合の割合に依存して決ることを明らかにした. Cs_2分子のD^1Σu^+状態およびc^<1π>n状態はc^3Σn^+状態との摂動により前期解離してCs(6^2P_<3/2>)原子とCs(6^2S_<1/2>)原子を生成することが知られている. 我々は分光器で検知する発光波長を選択し, 波長連続掃引可能なシングルモードレーザーを用いて励起スペクトルを測定することにより, 吸収帯が重なっているため困難であった励起状態D^1Σu^+とC^1πnを分離して検知することに成功した. これによりD^1Σu^+状態の分光定数を決定し, これを用いてRKR法でポテンシャルエネルギー曲線を求めた. さらにD^1Σn^+状態とC^1πu状態は, 核間距離5.85.エネルギー16700cm^<-1>で交差することを明確にした. NaK分子のB^1π状態の分光定数及びポテンシャルエネルギー曲線を求めた. さらにB^1π(υ=4)状態のエネルギー準位に異常な$エネルギーシフトが観測された. この原因は^3Σ状態との状態間混合であることを実験的及び理論的に証明することが出来た.
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