研究概要 |
本年度は主に実験室系EXAFS装置の(A)試作・導入及び(B)測定・解析時間の短縮化, 装置のシステム化の二点に焦点を絞って研究を遂行した. 全体の構成図を右に示す. (A)X線発生装置は, フィリップス社製高性能ファインフォーカス型(W又はMoターゲット)を使用した. 検出器は高感度冷却型マルチチャンネルの為高速時間測定(20ms/1024Ch)が可能である. まず性能チェックの為5〜10μ厚のFe,Co,Ni,Cu箔のEXAFSスペクトルを測定した. ラボのEXAFS測定での一番の問題点はX線の質(高調波の混入)と量(強度)の調和である. Wターゲット使用時のときは, 多くの金属のスペクトルにおいて特性X線が重なり(特にNi系), 解析に支障をきたす. そのような時は強度(I=kiZV^2)の点でWより弱いがMoを用いた. (B)ゴニオメータ部等は, すべてコンピュータライズされており, 操作は簡便で高精度である. たとえば5μのCu foilでは, gate time 2s, 積算100回で解析に耐え得るdataがとれた. 今後, 各金属foilの基礎dataを蓄積し, さらに実際の粉末・液体試料の測定を試みる. またグラッフィクスに重きをおいた解析ソフトの開発にも留意したい. 以上, 試作にかなり手間どったが, 今後も(1)光学系, (2)検出系, (3)データ処理系の開発・整備への地道な努力が軽視されてはならないと思う.
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