研究課題/領域番号 |
62430014
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 安俊 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (40005236)
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研究分担者 |
丸山 俊夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20114895)
阿竹 徹 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (30028229)
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キーワード | 耐熱合金 / 高温腐食 / 高温耐酸化性 / 希土類元素効果 / 酸化挙動 / 予備酸化 |
研究概要 |
平成元年度は本研究計画の最終年度であるので、前年度までの研究により明らかとなった問題点をまとめ、必要な追加実験などを主として行った。とりわけ以下のような実験および考察を集中的に行い、腐食機構の解明と高温耐酸化性向上についての知見を得た。 前年度までにNiーCrーAl、NiーCrーSi合金などの高温酸化挙動と希土類元素効果について研究を行ってきたが、表面に添加する希土類酸化物の微細構造と組成分布が極めて重要な因子であることがわかった。本年度はさらに、保護性スケ-ルの核発生および成長機構をはじめ表面微細構造と組成の効果について詳細な検討を行った。 金属材料が実際に使用される環境は、単なる乾燥空気であることはまれであり、たとえば熱化学サイクルによる水素製造過程ではハロゲン系ガス、SOx、水蒸気などが含まれる。本年度はこのような過酷な雰囲気における酸化挙動と希土類元素効果についても検討を行った。SUS310の臭素雰囲気における腐食については、予備酸化後一定の潜伏期間をおいて激しい質量減少を示すこと、Y_2O_3のコ-ティングにより質量減少が見られなくなることなどの現象を詳細に解析した。気相から酸化物スケ-ルを通って合金内部へ臭素が拡散することによる内部臭素化の機構を解明するため、FeーCrおよびNiーCr合金を石英管中に真空封入した条件下で実験を行った。さらに水蒸気雰囲気におけるSUS430の異常酸化現象についても、Y_2O_3、CeO_2、Cr_2O_3およびFe_2O_3を高周波スパッタリングにより表面添加し、酸化挙動に対する影響を調べた。Y_2O_3のコ-ティングにより異常酸化が抑制されること、CeO_2の場合には酸化増量が無添加のものと比較して半分程度に減少することなどの知見を得ることができた。 これまでに得られた結果について、種々の観点から考察を行い、従来から提唱されていた希土類元素効果に新たな知見を加えた。
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