1.ペロブスカイト型酸化物の原子価制御と解析 酸化物超伝導体における酸素空孔、酸化数と超伝導性の関係について定量的に検討した。(La_<1ーx>Sr_x)_2CuO_<4ーδ>はSr置換量xの増加とともにCuの平均価数が増大し価数2.16で最高のTc38Kが得られた。さらに、Cuに対し遷移金属を置換すると超伝導性を失うが、Laに対する常磁性希土類元素の置換ではTcの変化が小さいことから、超伝導がCuO面で起きていることを証明した。YBa_2Cu_3O_y系でも、Cuに対するFe、Coの置換で正方晶への転移が起こり、Tcは低下するものの超伝導を示すことからCuーOの二次元面の重要性を指摘した。 Cu、Co、Ni系ペロブスカイトおよび関連する複合酸化物についてXPSを用いて表面に於いてバルクと対応した原子価制御の起こっていることを示した。 2.高活性燃焼触媒の合成 LnBO_3(Ln:希土、B:3d遷移金属)の酸化触媒活性は主としてBイオンで決り、3価のLnをSrで置換することによりBイオンの原子価制御が起こり著しく高活性の触媒が得られる事を明らかにした。さらに、ZrO_2を担体とすると高活性ペロブスカイトの薄膜触媒を合成することができ、高表面積化による一層の活性向上が実現できた。表面状態については、XPS、EDX、IRにより明らかにした。さらにYBa_2Cu_3O_yがNO、COをインターカレートしCOによるNOの還元反応に高い活性を示すことを見出した。 3.走査型トンネル顕微鏡(STM)の作成と表面測定 防震・走査機構を工夫し多様な雰囲気で測定可能な小型STMを作成した。Bi_2Sr_2CaCuO_y単結晶(Tc=81K)についてCuーO面に対し垂直ならびに水平方向についてエネルギーギャップを測定し、超伝導機構に関して考察を加えた。
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