| 研究概要 |
炭酸ガスレーザーを用いて粉体充てん物を点加熱し,層内伝熱速度の測定や溶融焼結物の表面観察を行った. 二分割セルに種々な充てん率で粉体を充てんし,焼結物との関係を調べたところ,用いた種々の金属試料(銅,ニッケル,酸化銅,アルミニウム,五酸化バナジウムなど)はともに,空隙率が大きい程焼結物の重量や体積が増加することが認められた. しかしアルミニウムなどは溶融物によるレーザー光反射の影響により照射エネルギーの有効な伝達が進行せず,焼結物を測定するまでには至らなかった. また焼結物は,レーザー照射ポイントからの距離に応じ,溶融部,ゾーン溶融部および接融点溶融が起きていることが,焼結物断面の電子顕微鏡観察により確認された. しかもこの溶融は充てん層深さ方向よりも半経方向に速度的に速い溶融が起きており,これは充てん層各位置での伝熱速度の測定からも確認できた. 本実験のような点加熱は非定常の伝熱過程となっており,溶融速度を推定することは容易ではないが,伝熱速度の測定結果や上記知見を基に,そのシミュレーションモデルの作成について現在検討中である.
一方粉体焼結物の充てん構造に関する研究としてHIP(熱間静水圧プレス)装置を用いた焼結物の観察も行い,圧力および温度を種々結合わせた条件下でアルミナ粒子を焼結し,焼結物の断面を電子顕微鏡観察した. その結果,焼結後の充てん構造に影響する因子としては圧力や温度の他に,粉体成形前の顆粒子の大きさや状態が関与していることがわかった. これらの結果を基に,成形物の充てん構造と溶融焼結後の充てん構造の変化を考慮した焼結速度の推定を現在行っている. また次年度では面加熱による溶融焼結操作を行い,点加熱の場合の溶融速度との違いについて検討をしてゆく予定である.
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