研究概要 |
これまでの一連の研究の応用について,主としてファインセラミックスの分野において検討し,成形体から焼結体作製に至るまでの一貫したプロセスの評価を行った。また最近,材料のもつその機能に傾斜をつけるいわゆる傾斜機能材料の概念が注目されてきており,本研究で得られた技術をそのプロセス開発に応用することも目的とした。 1.セラミックスの製造プロセスを工学的に解析することを目的として,製法の異なる原料粉体を同一プロセスで処理した結果を比較することによって,原料粉体を評価する方法を確立した。すなわち,原料粉体の特性値として密度に着目し,成形後の密度との間に相関を見い出した。これにより,原料粉体が分かれば圧縮成形後の密度が容易に予測できる。 2.1.で得られた結果に基づき,成形体密度と焼結体密度との相関を求めた。また12種類の処理プロセスで原料調整を行った後に焼結操作を行い,上記相関に及ぼす処理プロセスの影響を評価した。その結果,原料粉の粉砕,助剤の添加,有機物質除去の各プロセスが極めて重要な因子であることが判明した。 3.傾斜機能材料開発の基礎研究として,傾斜組成をもつ成形体作製のための技術的手法を以下のように3種類提案し,各手法での特徴並びに組成傾斜のための制御法を実験的に検討した。 (1)水素還元して得た金属超微粒子を直ちにセラミックス粉末充てん層内で拡散付着させて,2成分傾斜構造が容易に得られた。また傾斜組成分布の理論的予測も行えた。 (2)振動法による2成分の混合充てんでは,傾斜層を得る最適な周波数と加速度が存在することを明らかにした。 (3)ろ過法は比較的肉厚の成形体を得ることができ,理論的な組成傾斜の予測も容易であることが確かめられた。
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