研究概要 |
[1] 末梢器官への神経支配を仲介する因子を調べるためニワトリ胚細胞の培養系を用いて以下の成績を得た. (a)コラーゲンゲル中に交感神経節(SG)を埋め, 一定の距離の所に第2翼羽開張筋(Exm, 交感神経が密に分布している)と骨格筋(Skm, 交感神経が分布していない)を置いて神経線維の伸びを調べたが両組織に交感神経は伸びていった. (b)SG細胞はExm条件培養液をコートした培養皿によくくっついたが, Skmで処理した培養皿にはくっつかなかた. この条件培養液の活性は10万g3時間の沈渣に回収された. この物質はDEAEセルローズに吸着し, 分子量は2000kダルトン以上であり, 活性ドメインは蛋白である. これらの成績から, なぜ交感神経は平滑筋に分布するが骨格筋には分布しないのか, その分子的背景を明らかに出来ると期待される. 今後, この物質を同定し, 組織分布や発達の過程での変化, 薬物による影響等を調べていきたい. [2] 発育に伴うイオンチャンネルの変動をWhole cell膜電位電位固定法を用いて調べ以下の知見を得た. (a)出生直後のマウス骨格筋には一過性および持続性の2種のCaチャンネルが存在し, 一過性チャンネルは生後17日までに消失する. 単位膜面積あたりの持続性チャンネル電流は生後30日の間に4倍に増加した. (b)膜電位依存性Naチャンネルについてもイモ貝毒素(Geographutoxin)を用いて調べた. 出生直後の筋および神経支配のない培養筋にはイモ貝毒素ー感受性, ー抵抗性の2種類のチャンネルが同時に存在する. イモ貝毒素抵抗性のチャンネルは発育にともない生後16日までに消失したが, 感受性のチャンネルは20日までに15倍に増加した. (c)上記の4種のチャンネルは発達過程で密度, 性質に大きな変化を受けるが, そのメカニズムはチャンネる毎に異なることが示唆された.
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