昨年報告したようにラウエカメラの駆動部は順調に作動した。しかし時分割ラウエ写真は幾度も同一イメージングプレート(IP)上に重ね撮りをするため通常のラウエ写真に比しバックグランドが非常に高くなる。これを解決しないと実用に供せられないので計画を一部変更し、まずこのバックグランドを可能な限り減ずることを行った。2.5〓〜0.2〓までのX線を利用するため、試料まわりから、IPに到るまで極めて良く置換されたヘリウムパスを作ること、シャッター材の厚みを増し短波長のX線も完全に止めることなどの改良を行った。試料としてw-amino acid pyruvate aminotransjeraseを用い時分割ラウェ写真を撮影した。写真I、IIがそれで、IIはIの部分拡大写真である。バックグラウンドは充分低く、各点も充分離れており充分実用になる写真が撮れた。一方時間分割にはレーザー光などによるトリガーが必要であるので、電磁シャッター及び回転シャッターとトリガーのタイミングを取るための電子回路を組み完成させた。レーザー本体を用いた実験は来年度の早い時期に行う予定である。又来年度はデータプロセッシングのプログラムを完成させる予定である。
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