研究概要 |
1.クラミドモナスのカーボニックアンヒドラーゼ(CA)のZn^<2+>結合部位を含けペプチドのアミノ酸配列を決定し, これに基づいて合成オリゴヌクレオチドを調整した. これを用いてクラミドモナス遺伝子ライブラリーからCA遺伝子を含むクローンを検索中である. 2.ポルフィリディウムCAを純化し, 分子量約55dD_2の単量体分子であることを示した. 又, ポルフィリディウムCAは, ワラシドモナスCAと異となり, 糖鎖を含まないこと, Cl^-が酵素活性を示すのに必須であること, pH7以下では可逆的に失活することが明らかとなった. さらに, このCAに対する抗体を調整し, 免疫電顕により, CAが主として葉緑体に分布することを示した. 3.突然変異誘発物質MNNGを用い, アナシスティスから高炭酸濃度要求性で温度感受性の変異性を単離した. この変異株は, 30℃では, 通常の空気条件下で, 野生株と同じ生育速度を示したが, 42℃では, 生長が止まり, 5%CO_2条件でのみ生長した. NaHCO_3に対する光合成活性を測定したところ, 30℃空気で生育した変異株の見かけのKm(CO_2)値は, 1〜2μMであったが, 40℃では, CO_2濃度によらず800〜2000μMと, 5%CO_2で生育した野生株の6〜7μMよりはるかに高い値を示した. 4.光独立栄養条件下で生育したコーグレ+から, 高い炭素困定活性を示す無傷葉緑体を単離することに成功した. さらに, 低CO_2じ度(空気条件)で生育した細胞からも葉緑体を単離できた(低CO_2葉緑体)ので, 1.5%CO_2で生育した細胞から得た葉緑体(高CO_2葉緑体)とその光合成活性を比較したところ, 10mMNaH^<14>CO_3下では共に約120μmol・mg^<-1>chl・h^<-1>の固定速度を示したが, 1mMでは, 低CO_2葉緑体は75に対し, 高CO_2葉緑体では37と低かった. この結果, 生育時のCO_2濃度の違いによる光合成活性の違いの原因として, 少なくともその一部は葉緑体そのものに急因があることが判明した.
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