研究課題/領域番号 |
62440003
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物生理学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 (1989) 京都大学 (1987-1988) |
研究代表者 |
竹内 郁夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 所長 (90025239)
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研究分担者 |
岡本 浩二 京都大学, 理学部, 助教授 (10029944)
田坂 昌生 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90179680)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 細胞分化 / 遺伝子発現 / パタ-ン形成 / 分子遺伝 / 細胞性粘菌 |
研究概要 |
1.細胞性粘菌の細胞は集合して組織を形成すると、2種類の細胞(予定胞子及び予定柄細胞)が分化する。これらの細胞の分化に伴っていずれかの細胞型に特異的に蓄積されるmRNAに対するcDNAクロ-ンを得て、蓄積の発生的変化を調べた結果、成長期から発現している遺伝子と組織形成後に発現される遺伝子があることがわかった。単離核をもちいてこれらの遺伝子の転写活性を調べた結果、前者の遺伝子は予定胞子および予定柄の両方で転写されるのに対して、後者の大部分はいずれかの細胞型でのみ転写される。この事実は、細胞型に特異的なmRNAの蓄積が転写段階と転写後の選択的分解によって制御されることを示している。 2.予定胞子細胞の分化に伴って特異的に転写される2遺伝子をクロ-ン化し、その構造を明らかにするとともに、形質導入法をもちいてそれらの遺伝子の転写をシスに制御する5'上流域を明らかにした。これらの領域は遺伝子が発現している時期に特異的にみられる5'上流域のDNAse I高感受性領域と一致する。また1遺伝子のこの領域に結合する核内因子をゲルシフト法で検索したところ、三種類の核タンパク質が同定された。 3.これらの予定胞子特異的遺伝子は組織を分散すると直ちに転写を停止し、蓄積していたmRNAは分散される。しかし、分散した細胞にcAMPを添加すると、cAMPは細胞表面のレセプタ-に結合し、細胞内の信号伝達系を介して遺伝子の転写を直接に誘導することが明らかになった。さらに、合成されたmRNAはcAMP存在下に合成されるタンパク質によって安定化される。 4.成長期から存在し、予定胞子細胞に選択的に蓄積されるmRNAの1つは粘菌のポリペプチド鎖伸長因子、EF2であることを明らかにし、その遺伝子をクロ-ン化して、全構造を明らかにした。
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