研究分担者 |
宮本 隆實 広島大学, 理学部, 助手 (00090548)
早坂 康隆 広島大学, 理学部, 助手 (10198830)
鈴木 盛久 広島大学, 理学部, 助教授 (10033888)
嶋本 利彦 広島大学, 理学部, 助教授 (20112170)
渡辺 洵 広島大学, 理学部, 助教授 (80033900)
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研究概要 |
本研究の目的は, 日本のテクトニックコラージの形成過程の造構運動像を透過電顕を用いた造岩鉱物の変形機構の解析を基礎として再検討し, 力学的により妥当な造構モデルを構築することにあるが, 地質体は複雑な変形史を示すために, まず各変形時相の変形構造のみを刻印したと考えられる岩石試料の選定が第1の作業となり, 本年度の主要な課題であった. これには厳密な変形史解析がなされていることが必須条件であり, 三波理帯, 三郡ー中国帯, 飛騨ー飛騨外縁帯において注意深く進められ成果をあげることができた. 温度圧力条件は造岩鉱物の変形機構を支配する重要な因子であるため, 各変形時相の温度圧力条件の推定のための基礎資料を得るため造岩鉱物のEPMAによる分析が進められた. 特に角閃石黒雲母白雲母斜長石カリ長石ざくろ石薫青石を中心として行われた. 領家帯における黒雲母薫青石の組成分析は主要変成作用の条件の推定に有意な情報をもたらした. 三波川帯における角閃石ざくろ石の成長史と変形史の対応についてもきわめい有意な情報を得ることができ, 各変形時相の温度と圧力条件の推定が大きく進展した. 透過電顕による組織解析は, 石英カリ長石斜長石を対象として行なうことを決定し, 各変形時相におけるこれら鉱物の変形特性の光学顕微鏡(Uーstage)による解析が進められた. この解析は各変成帯の変成岩類のもつ特徴的な変形構造である層面片理の形成過程の理解に飛躍的な進展をもたらした. 単純な構造にみえる層面片理が単一の変形作用によって形成されたものではなく, 多時相にわたる多様な変形作用と静的な条件での回復ー再結晶作用を伴なう変成鉱物の塑性変形, 動的再結晶作用などによって形成された複雑な構造内容をもつものであることが明らかにされた. このような研究はまた飛騨帯の宇奈月帯において花崗岩マイロナイトの組織の理解に飛躍的展開をもたらした. 電子顕微鏡は日本電子kk製JEMー2000ESが購入された.
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