研究概要 |
本研究の最終目標は, ヒトが進化の過程でどのようにして二足歩行という運動様式を獲得し発達させたかということを足部の形態, 機能に注目し, 実験的手法によって解明することである. まず始めにアウストラロピテクスの足骨の模型及び足跡を数値化したが, 機能的意味については現代人の歩行測定データと対比し考察する予定である. 一方, 本研究の中心な歩行中の足の裏の圧力分布(足底圧分布)を触覚画像システムで測定し, 同時に測定する三次元的な床反力と合わせて, これらと歩客の関少を明らかにすることである. 本年度はこれまでに発表されていない様々な工夫による歩行の多現象同時測定システム完成に力を注ぎ, 基礎的測定実験をくり返した. このため主要機器の他に数種類もの測定・記録・検定機器を製作し, 主要機器に接続した. これらの機器によって得られた数値データの解析は未だ進行中で終了していないため, ここではこの測定システムに関する知見を記す. 触覚画像システムの感圧部の感圧導電ゴムの特性を, ストレインゲージ型圧力センサを用いて, 各ピクセル(64×64個)毎に検定した. 各ピクセルの特性には若干のばらつきがみられたが, パーソナルコンピューターを用いてソフトウェアによって補正した. シネカメラを触覚画像システムに同期させることはできないため, 歩行動作の記録, 計測にはビデオカメラを用いた. 他の計測器の出力信号もすべて同期させており, この同期信号は床反力を記録するデータ口が一に入力されている. データ口が一には, 自作した歩行周期, 歩幅の自動測定値, ビデオのフィールド番号も入力される. 次年度では, 幼児から成人にいたる各年齢の多くの被験者について測定を行なう.
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