研究概要 |
本年度は、幼児から成人にいたるまでの被験者の歩行実験を行ったが、データ解析が予想外に時間を要し、今だに作業中のため、現時点では成人の結果について述べる。被験者には実験用着衣を着させ、耳孔、肩峰、肘、手首、腸骨稜、大腿、膝、外果、内果、踵、中足骨遠位端側面にマークシールを貼り、さまざまな歩行速度で約7mの歩行路を数十回歩かせた。歩行運動は全身像と下腿から下の足の部分の拡大とを別々の1000分の1秒のシャッター付きのビデオカメラで撮影してVTRに記録し、足底圧分布は触覚画像センサーによりVRTに記録した。床反力計の出力と自作の自動歩幅・歩調測定装置の出力はデータロガーで記録した。また被験者には、人類学的な生体計測を行なった。全身像と足の部分を拡大して撮影したビデオテープは1フィールド毎に再生し、各マークシールの(x,y)座標をパーソナルコンピューターに入力した。足底圧分布を記録したビデオテープも1フィールド毎に再生し、画像濃度から圧力値に変換し、スキャンによる時間的ずれを補正した後、等圧線図を描かせた。データロガーに記録したデータはパーソナルコンピューターに転送し、歩速、歩調を計算させるとともに、床反力計のデータからは着力点の位置を計算し、プロッターに描かせた。これらのデータからさらに各フィールドの等圧線図にその時の着力点位置を記した合成図を製作した。これらの処理は、データ量が膨大なため、パーソナルコンピューターによる計算は時間がかかり過ぎた。従って、幼児におけるデータの解析は現在のところ完了していない。今後は、この幼児におけるデータの解析を進めるとともに、成人におけるデータもさらに詳細に解析する予定である。また、この触覚画像システムについては、扁平足の研究にも十分利用できることがわかったので、さらにそのような被験者においても歩行実験を行なっていくつもりである。
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