研究課題/領域番号 |
62440009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 龍一 東京大学, 農学部, 教授 (00011958)
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研究分担者 |
伊藤 亮一 東京大学, 農学部, 助手 (60184701)
山岸 徹 東京大学, 農学部, 講師 (50143409)
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キーワード | 光合成 / 水稲 / 品種間差 / 老化 / 炭水化物代謝 |
研究概要 |
1。昨年に引続き、delta^<13>C値から葉肉内CO_2拡散抵抗(Rr)とCO_2固定抵抗(Rc)の推定を行った。今年度は精度を高めるため、光合成以外の分別反応を受けないよう、光合成の直接的な産物である糖のdelta^<13>Cを測定した。光合成に対する全抵抗中、気孔抵抗(Rs)は16ー38%、Rrは20%以下、(Rc)は50ー68%であった。また光合成の品種間差の主要な要因はRcで、次いでRs、Rrの順であった。Rc、Rrとそれぞれ関係すると考えられる、RuBPCase含量と炭酸脱水酵素(CA)活性を測定し比較検討したところ、RuBPCase含量とRcの間には相関は認められたが予期したほどは高くなかった。CA活性はRrとの間には相関は認められず、Rcや光合成速度と相関が認められた。今後RuBPCaseについて含量ではなく、活性の測定が必要と考えている。 2。これまでの本研究の結果から、光合成速度の品種間差は葉が老化段階にさしかかった時にあらわれることがわかり、老化のメカニズムの解明が必要と考えた。本年度は、老化を抑制するとされているサイトカイニンの1種のベニジルアデニン(BA)を散布し、老化抑制の機構の解明を試みた。BA処理により光合成の低下は抑制された。特に可溶性タンパク含量の低下は抑制されたが、その間タンパク分解酵素活性は抑制されていなかった。一方、内生サイトカイニン含量には差は認められなかった。今後、可溶性タンパク含量の低下の抑制の機構を解明する必要があると考えている。 3。光合成の面からの研究と同時に光合成産物の貯蔵器官についても、その機能を炭水化物代謝関連の酵素活性の面から研究を開始した。葉鞘、稈では出穂期に酵素活性の大きな変動が見られること、また穂では弱勢穎花の酵素活性は強勢穎花に比べ低いが、窒素追肥によった顕著に高まることが明かとなった。
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