1.パルスフィ-ルド勾配電気泳動法を用いて家蚕の破片染色体の分離を試みた結果、P^<sm>系統に存在する破片染色体の存在が示唆された。また核由来と考えられる2種類のDNAバンドが分離されることを示した。 2.クワコと家蚕の核小体形成体を解析し、両者の類似性と相違性を明らかにし、進化の過程を考察した。 3.mo遺伝子の受精過程における作用について調べた結果、従来提出されていたモデルでは不充分であることを明らかにし、mo遺伝子の作用機構に関して数種のモデルを提出した。 4.家蚕の2種濃核病ウイルスに対する抵抗性遺伝子は両ウイルスに対し各々に独立したものであった。 5.家蚕の濃核病ウイルスに対する感受性は1つの遺伝子によって支配されており、その遺伝子をモザイク状にもつ蚕を作成し、感染させることによって、組織内にモザイク状のウイルス感染が認められた。 6.家蚕とエリ蚕のアリルフォリンの性状を比較した。両者の分子量・アミノ酸組成等は類似しており、血清学的にも共通性が強かった。しかし、生体内における動態においては異なる点が存在した。 7.濃核病2型ウイルス感染中腸におけるRNAの翻訳産物を検討し、ウイルスタンパク質の合成を調べた。 8.家蚕の濃核病ウイルスはクワノメイガのものと同一であり、クワノメイガに由来することが推察された。 9.家蚕幼虫初期の卵巣の器官培養を試み、卵巣の発育因子を検討した結果、卵細胞の細胞分裂には脳から分泌されるホルモンが必要であることを明らかにした。 10.家蚕培養細胞への核多角体病ウイルスの感染症には、培養液中の牛胎児血清濃度が影響することを示した。 11.蛹期の卵巣の発育、とくにビテロジェニン取込にはエクダイソン類が関与していることが明らかになった。
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