研究分担者 |
森嶋 博 東京大学, 農学部, 教授 (90011832)
後藤 英司 東京大学, 農学部, 助手 (00186884)
本條 毅 東京大学, 農学部, 助手 (60173655)
茅野 充男 東京大学, 農学部, 助教授 (10007677)
蔵田 憲次 東京大学, 農学部, 助教授 (90161736)
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研究概要 |
種苗の大量生産システムにおいて,近年組織培養ステージでの環境調節の重要性が認識されはじめてきたが,本研究では,本年度はこのためのシステムの設計・製作と培養のための第一歩としての基礎実験を行った. まず,このような実験ではコンタミネーションを避けることが不可欠であり,そのためにクリーンルームを特注し,完成後はすべての実験はこの中で行った. 制御すべき環境要素として,温度,炭酸ガス,光強度をとりあげ,これらはコンピュータにより連続的に制御できるようにした. この他にpHや糖濃度もコンピュータでモニターできるようにし,システムとしては,液振とうタイプのものと,ジャーファメンタタイプのものの2種類を製作した. 供試体としてはシンビジウムPLBを用い,最高28日間培養した. 液振とう培養の場合,従来最適条件とされてきた照度1500ルックス,CO_2濃度400ppmに比較して,照度1万ルックス,CO_2濃度3000ppmの方が,シュートの発生が速く,ショ糖を低濃度(1%)でたえず補給できるならば,培養期間を大幅に短縮できることが判明した. 従来の寒天などの固形培地では簡単に糖分の補給ができないため,当初に多めの2%を与えることが一般的であるが,これは最適値でないことが判明した. ジャーファメンタタイプでは,培地のpHを一定に保つことの重要性に継目して,CO_2濃度を高めたときに培地のpHがどのように低下するかをモニターし,CO_2濃度との関係を明らかにした. またシンビジウムPLBの培養実験では,CO_2濃度の影響が大きく,CO_2施用を行った区の方が著るしく生育がよかった. pHは当初低下するものの,その後は安定する傾向にあり,その制御も可能であることが判明した. 今後,制御できる環境要素を増すとともに,供試する作物体も増し,継続実験を行う計画である.
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