研究課題/領域番号 |
62440021
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤田 恒夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00032863)
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研究分担者 |
岩永 敏彦 新潟大学, 医学部, 助手 (10160128)
油井 龍五 新潟大学, 医学部, 講師 (30158331)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 肝臓の再生 / 胃腸膵ホルモン / 栄養効果 / グルカゴン / インスリン / コレシストキニン / トリプシン阻害剤 |
研究概要 |
1.部分肝切除を行なったマウスとラットに各種の胃腸膵ホルモンを投与し、肝臓の再生と膵臓に対する効果を重量の変化と組織学的検索にもとづいて調べた。マウスでは、グルカゴン・インスリン投与で約50%の肝重量の増加が認められた。ラットでは、グルカゴン・インスリン投与とトリプシン阻害剤(以下TI)経口投与を組み合わせた場合に約20%の肝重量増加がみられた。同じ組み合わせで正常ラットに対して投与した場合には、肝重量には変化は生じなかった。したがって、グルカゴン・インスリン・TI投与は再生中の肝臓に対してのみ有効と考えられた。一方、セクレチン、CCK、TIそれぞれの単独投与では肝再生に対する効果はなかった。再生肝の組織像は、いずれの投与群とも対照群との違いはなかった。 2.胃腸膵ホルモンが再生肝における肝細胞の分裂・増殖を促進するかどうかを確かめるため、BγαU抗体を用いて免疫組織化学的に調べた。部分肝切除したラットにグルカゴン・インスリン・TI、あるいはCCKを投与し分裂中の細胞を経時的に観察したところ、標識細胞の出現頻度や分布に対照群との差異は認められなかった。したがって、これらホルモンによって肝細胞の分裂が促進されるのではなく、細胞の肥大が引き起こされたものと考えられる。 3.膵臓は、肝切除後いずれの群においても重量の増加と腺房の発達が認められた。この効果はグルカゴン・インスリン、セクレチン、CCK、TI、大豆餌の群で一層増強していた。その機序については今後の研究が必要であろう。 4.再生が活発なときの肝細胞は腺房様配列をとり、血管との接触面が減少していた。毛細胆管は部分的に拡張し、そこから多数の細い側枝が出ていた。前者は腺腔に、後者は細胞間分泌細管に相当する。このような像は新生児や下等動物の肝臓でも認められることから、肝臓の原始的な構築と思われる。
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