研究概要 |
1.ホヤ胚単離割球における神経型分化の解析:分裂抑制後, 卵殻幹を除去してとりだしたマボヤあるいはアカボヤの8細胞胚から予定神経領域を含む頭側動物半球割球a4ー2を単離してサイトカラシンB含有海水で培養すると, すべて表皮型細胞に分化した. 一方, a4ー2割球を単独でなく, 予定脊索領域を含む頭側植物半球割球A4ー1と接着して培養すると,誘導によりa4ー2割球は高率に神経型細胞に分化することがわかった. また単独のa4ー2割球も正常胚の16〜32細胞期に相当するところで, pronase 2%海水で10℃・15分間処理すると100%近く神経型細胞に分化することがわかった. また神経型分化の最も確実な指標は分化型Naチャネルであって, このチャネルはホヤ未受精卵に存在するNaチャネルとは単一チャネルレべルでゲーティング機構が異なり, 異なる分子種である可能性が示された. さらに, 接着が非特異的にNaスパイクを誘導している可能性を否定するために, 頭側動物半球a4ー2割球を尾側動物半球割球あるいは尾側植物半球割球と接着して培養したが, いづれの場合もa4ー2割球は表皮型細胞に分化した. すなわち接着によるNaスパイクの誘導能力は植物半球前方割球に特有であり, 非特異的な細胞間接着による作用でないことがわかった. 2.マウス奇形腫細胞における神経型分化の解析:マウス奇形腫細胞のレチノール酸による神経型分化の誘導の実験をおこない, 初期分化過程にある細胞のホールセル記録による解析により, Naチャネル, Caチャネルの膜への出現を調べた. Caチャネルについては, 不活性化の速いtypeと不活性化の遅いtypeでは出現の時期が異なり, 不活性化の速いものが初期に現われることが明らかとなった.
|