研究課題/領域番号 |
62440023
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 國太郎 東京大学, 医学部(医), 教授 (10010034)
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研究分担者 |
久保 義弘 東京都神経科学総合研究所, 神経生理, 研究員 (80211887)
岡村 康司 東京大学, 医学部(医), 助手 (80201987)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 誘導性神経分化 / 原索動物胚 / 単離割球 / Naチャネル / プロテオリシス / 異常整流性Kチャネル / 奇形腫細胞 / レチノ-ル酸 |
研究概要 |
1.ホヤ胚単離割球における神経型分化の解析(1)ホヤ8細胞胚より単離した動物半球頭側割球は、植物半球頭側割球と接着して2細胞系として培養すると、細胞間誘導によりNaスパイクを発生し、神経型分化を示すことがわかった。(2)この神経誘導の細胞内機序を解析する目的で、誘導能を模倣する物質を検索し、セリンプロテア-ゼ、サブチリシンを見出した。その誘導能はサブチリシンに特異阻害活性のある蛋白SSIで阻害された。また、SSIにより接着誘導も阻害されたので、誘導現象にプロテオリシスが関与していることが示唆された。(3)頭側外胚葉割球を単離して培養すると、初期膜興奮性の変化として、異常整流性Kチャネルが嚢胚期から神経胚初期になる時点で急激に増加した。この増加は蛋白分解酵素処理によって神経型に誘導された割球では、無処理で表皮型に分化する割球に比べて、半分以下であった。これら割球において、特異的な転写阻害剤であるα-アマニチンを注入して異常整流性Kチャネルの転写開始時点を決定したところ、誘導の有無にかかわらず、誘導開始前の32細胞期にすでに転写が始まっていることが分った。しかし、神経型に分化する割球では誘導時点で転写が抑制され、その結果神経胚初期の増加が少ないと考えられた。 2.マウス奇形腫細胞による神経型分化の解析(1)奇形腫細胞をレチノ-ル酸により神経分化させると、Naチャネル及び不活性化の速いT型Caチャネルが分化の初期に出現し、非興奮性の未分化の幹細胞とは明らかに区別される膜興奮性を示した。(2)マウス中胚葉由来の細胞株C3H10T1/2は未分化の幹細胞でCa依存性、ATP依存性の静止膜コンダクタンス、T型Ca電流を示した。DNA脱メチル化剤により筋細胞に分化させると、L型Ca電流、外向きK電流、ニコチン性応答、ミオシン等がそろって発現し、神経分化とは異なった特質を示した。
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