研究課題/領域番号 |
62440024
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 和夫 京都大学, 医学部, 教授 (20025539)
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研究分担者 |
森竹 浩三 京都大学, 医学部, 講師 (90093327)
水野 昇 京都大学, 医学部, 教授 (10025596)
玄番 央恵 京都大学, 医学部, 講師 (00108987)
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キーワード | 前頭連合野 / 大脳皮質フィールド電位 / 視覚始動性運動 / 色光弁別応答 / 事象関連電位 / サル / ヒト |
研究概要 |
前頭連合野の機能と病態に関し、サルを用いた実験的研究と、ヒトの頭皮上から記録される事象関連電位について、さらに研究を進めた。 1.ニホンザルの前頭連合野の主溝、弓状溝の中に入り込んだ皮質も含めた各領野、運動前野、運動野などのそれぞれ皮質表面と深部に記録用電極を慢性的に埋め込み、色光弁別を伴う視覚始動性反応時間運動を手で行わせると、弁別学習が成立して報酬を伴わない色光刺激で運動を行わなくなることと一致して、運動遂行不可電位が前頭連合野の特定部位に出現することを昨年度報告した。この電位は、両大脳半球の主溝背側壁と前頭前野吻側腹外側部に出現し、運動遂行不可の光刺激(500ミリ秒持続)の開始から85ー150ミリ秒の潜時で始り、50ー100ミリ秒の巾を持つ皮質表面陰性、深部陽性波である。この運動遂行不可電位の機能的意義を検討するため、この電位が記録された電極を用いて電気刺激を加え、運動遂行可の光刺激でサルが運動を遂行するはずの所を抑圧するかどうかをしらべた。その結果、運動遂行不可電位の出現する部位を両側刺激した場合に著明な抑圧作用の出現することが見出された。しかも、運動遂行不可電位の潜時附近(75ー125ミリ秒)で刺激した場合に特に抑圧作用が強く、また、前頭前野の他の領野にくらべても明らかな差を認めた。すなわち、運動遂行不可電位は、これらの部位が興奮することにより、運動発現への強い抑圧作用を及ぼすことに対応していると解釈される。前頭連合野の判断と抑圧の機能を示唆するものと思われる。 2.20ー58才の正常な被検者42名につき、サルと同様の色光弁別課題を行わせてその際の事象関連電位を頭皮上から記録、分析した。被検者の約90%において、その前頭ー頭頂部に、サルの場合と類似の電位が運動遂行不可の光刺激に応じて出現した。この電位は陰性波で、両側性に出現し、潜時は150ー170ミリ秒であった。
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