研究概要 |
好中球は,食作用時あるいはロイコトリエンB_4などの可溶性刺激物質で刺激された時にス-パ-オキサイドをはじめとする活性酸素を生成する。これは,細胞胞に存在するNADPHオキシダ-ゼによるが,本酵素はFADを含むフラビン蛋白質とチトクロムb_<558>からなると考えられている。また,本酵素は好中球が刺激を受けない時には活性を示さない。近年,本酵素を無細胞系にて活性化する系が開発され,活性化には細胞膜と細胞質が必要であることが明らかとなった。本年度は,この無細胞系を用いて細胞膜に存在するNADPHオキシダ-ゼの構成々分および本酵素の活性化因子について研究し,以下の結果を得た。 膜成分は,0.75%オクチルグルコシドで効果的に可溶化された。その可溶化標品をコムギ胚凝集素カラムクロマトグラフィ-で分析した。クロマトグラフィ-によりス-パ-オキサイド生成活性は失われたが,カラム素通り画分とNーアセチルグルコサミンで溶出される画分とを測定系に加えることで出現した。これらの画分を測定系に加える時,まず両画分を混ぜ合わせた後に測定系に入れることが重要である(オクチルグルコシド希釈法)。カラムに結合した画分はチトクロムb_<558>と共に精製された。一方,素通り画分は熱処理に耐性であり,この画分から抽出された脂質および外来性リン脂質によって置換できた。外来性リン脂質を用いたNADPHオキシダ-ゼの再構成実験において,膜成分は約100倍に精製された。これらの結果は,チトクロムb_<558>はNADPHオキシダ-ゼの膜成分の1つであること,また無細胞系での本酵素の活性化にはリン脂質との再構成が必要であることを示している。
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