研究概要 |
本研究者は初年度の研究として, 多重ロジスティック関数から計算した発症確率,いいかえれば罹患と死亡の危険度が, 生活習慣の変化によって如何に増減するかの検討を行なった. (対象及び方法) 対象は,いずれも40〜60歳の男性である, 方法論的には,事務作業者544名については,昭和59年と61年の体重の変化を,また生産作業者78名については昭和60年と62年の2回に亘り,予め作成した健康質問表を配布回収し,予測計算を行なった. (成績及び考察) 医学的に妥当性のある体重増減の限界を求めるために行なった結果,上記の544名の82%は,体重変化が3Kg未満であった. そこで本研究者は,体重の明らかな増減を3Kgに設定することにした. 次いで,虚血性心疾患発症危険度を上記78名について計算した. その結果,危険度が>30%増(7名)及び危険度不変(29名)では, 体重減少は0および6.9%であった. のに比較して,危険度>30%度(13名)では23.1%で,体重減少が明らかに危険度の低下に有効と思われた. また運動量に関しては,500カロリー以上の減少例が,危険度>30%増加例の71.4%にみられ,危険度増大への運動量減少の影響が明らかとなった. これに対して,喫煙,飲酒の変化は必ずしも明瞭ではない. 本研究者は,さらにこれ以外に脳血管疾患,悪性腫瘍発症危険度並びに延命効果と,生活習慣の変化に関する詳細な検度も,現在行ないつつある. また,DNA配列解析の実験準備と,対象集団の選定も考慮進行されつつある.
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