研究概要 |
1.健康者でのPAF吸入による気道収縮と気道反応性の亢進:本研究の予備試験として, 11名の健康者を対象として200μg/mlのPAF液をエロゾルとして2分間吸入させ吸入後5ー15分を最大とする一秒量の低下を見た. また, 60分後には気道収縮はほとんど消失したがアセチルコリンに対する気道反応性の亢進を認めた. PAF吸入後には約半数の対象者には著明な末梢血白血球の減少を認めたが一秒量の低下, 気道反応性の亢進とは相関がなく, 血球反応は気道反応の条件でないことが示唆された. 2.健康者でのPAF吸入による気道反応の部位の検討:5名の健康者を対象として200ー300μg/mlのPAF液をエロゾルとして吸入させ, 本研究で購入したボディプレチスモグラフを用いて, 気道抵抗, 動肺コンプライアンスの周波数依存性を経時的に測定した. 前者は主として中枢気道の, 後者はより末梢の気道の内径減少を反映すると考えられる. PAF吸入後5ー20分に気道抵抗の増加を, また, 動肺コンプライアンスの周波数依存性が認められた. この結果は例数も少なく, 吸入したPAFの量が適当かどうかの疑問があるが, 全体として吸入したPAFは中枢, 末梢の気道を同時に収縮させると推定される. 本年度は吸入PAFに対する気道反応の用量依存性, 対象を喘息患者も加えて健康者の反応性と差異があるか, あれば, どのような点が差異であるかなどを検討する. 3.モルモットのPAF吸入による気道反応:Meadの変法により動物の呼吸抵抗を測定, 漸次濃度の増すヒスタミン液を吸入させてヒスタミンに対する気道反応性の測定が可能となった. 来年度はPAF吸入による気道反応性亢進の有無をみる. ヒトでのアレルゲン吸入発作後の気道反応性亢進は好酸球浸潤が関与し, 好酸球遊走因子の1つとしてPAFが推定されている. よって, 動物にPAFを吸入させ気道粘膜への好酸球浸潤を測定している.
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