研究分担者 |
土田 哲也 東京大学, 医学部(病), 講師 (70126126)
中川 秀己 東京大学, 医学部(病), 講師 (20114580)
大塚 藤男 東京大学, 医学部(病), 助教授 (10092157)
梅田 隆 東京大学, 医学部(病), 助教授 (50107504)
小野寺 一清 東京大学, 農学部, 助教授 (90012773)
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研究概要 |
レックリングハウゼン(R)病と結節性硬化症(TS)の培養細胞についてその細胞レベルでの異常が検討された. R病神経線維腫(NF)からの培養細胞はシュワン(S)細胞様細胞と線維芽細胞様細胞とから成ることが知られている. それら細胞の動態を調べる目的でNF初期培養細胞を透過型および走査型電子顕微鏡を用いて観察した. 透過電顕像は従来の報告と同様であったが,走査電顕像でS細胞様細胞膜表面に顕著な泡沫構造を認め,同細胞の活動性が高いことが示唆された. この所見はNFの腫瘍としての性格形成にS細胞様細胞の果たす役割が大きい可能性を示し,今後のNF研究に1つの方向性を与えるものと考えた. TSの血管線維腫(AF)には細胞分裂時に染色体の分配機構の異常により生じたと考えられる異常細胞が存在することを既に報告した(石橋ら). この異常が細胞のcentromereーmicrotubuleーcentriole系の機能的欠陥に由来する可能性を考えてAF培養細胞の細胞骨格蛋白を生化学的に検討した. 分子量55,000の細胞骨格蛋白と考えられる特異蛋白が分離された. この蛋白は生化学あるいは免疫学的各種検討の結果,tubulin系蛋白,あるいはvimentin,cytokeratinとは異なる蛋白で,その燐酸化は細胞回転非依存性であることが明らかとなった. 何れにせよこの特異蛋白がAF細胞の染色体分配異常に深く関与すると推測された. またAF細胞の異常を遺伝子レベルで検索すべく,クローン化されたAF培養細胞のモノクローナル抗体の作製,各種メッセンジャーRNAの抽出系が現在精力的に行なわれているところである.
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