神経皮膚症候群の本態並びにその発症機序に関する研究ー特にプリングル病およびレックリングハウゼン病についてー

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62440044
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 石橋 康正 東京大学, 医学部(病), 教授 (10010191)
• 研究分担者: 土田 哲也 東京大学, 医学部(病), 講師 (70126126) ; 大塚 藤男 東京大学, 医学部(病), 助教授 (10092157) ; 小野寺 一清 東京大学, 農学部, 助教授 (90012773)
• キーワード: 神経皮膚症候群 / レックリングハウゼン病 / プリングル病 / 糖脂質 / 増殖因子 / 分裂異常

研究概要

レックリングハウゼン(R)病とプリングル(P)病の病態に関する研究を昨年に引き続き精力的に行なった。
R病の主要症候の一つである皮膚線維腫とその悪性化した神経線維肉腫の糖脂質組成は従来の我々の研究で明らかとなっている。今年度は神経線維肉腫の培養細胞についてガングリオシドを中心とする糖脂質組成を生化学的に検討し、in vivoとin vitro(培養系)で神経線維肉腫細胞の同組成に著変がないことを示した。この所見は培養細胞を用いて、同細胞糖脂質に対する単クロ-ン抗体を作製すると、神経線維肉腫の診断、さらには治療にも役立ちうることを示唆している。R病患者血清あるいは血漿中に血小板由来の血小板由来増殖因子(PDGF)とは関連しない、神経線維腫由来線維芽細胞様細胞を増殖させうる因子の存在が明らかとなった。このような因子がR病患者に多発する神経線維腫の原因になっている可能性が示唆された。
我々がP病患者顔面の血管線維腫から樹立した株細胞についてさらにcharacterizationを進めた。同細胞が線維芽細胞様でありながら、glial fibrillary acidic proteinを発現する特異な細胞であること、またglial fibrillary acidic proteinの同細胞内における分布を明らかにした。同細胞の分裂に際しての分裂異常とそれに関連する各種遺伝子発現の異常が明らかにされつつあり、同細胞を用いてP病発症に関連する遺伝子の異常を解明する可能性が展望されている。

研究成果

• [文献書誌] Yasumasa Ishibashi,Tetsuya Tsuchida,Fjio Otsuka,Naoko Morioka et al.: "A case of neurofibrosarcoma associated with neurofibromatosis.Light microsiopic ultrastructural,immunohistochemical and biothemical in vesligations" Journal of Dermatology.
• [文献書誌] Yasumasa Ishibashi,Tetsuya Tsuchida,Fujio Otsuka,Naoko Morioka et al.: "Ganglioside analysis of neurofibrosaicema and its cultures cells."
• [文献書誌] Kazukiyo Onodera,Yasumasa Ishibashi et al.: "Abnormal division and gene expression in cultured cells from a patient with Tuberous sclerosis." Journal of Dermatology. 16. 263-269 (1989)
• [文献書誌] Kazukiyo Onodera,Ryoji Watanabe,Yasumasa Ishibashi et al.: "Distribution of glial fibrillary acidic protein(GFAP)in the intermediate microfilaments of the cultured cells from a patunt with tuberous sclirosis" Journal of Dermatology.
• [文献書誌] Fujio Otsuka,Yasumasa Ishibashi,Toshitatsu Nogita et al.: "Platelet-defiaint plasma and serus from patunts with ron Recklinghausen disiase enhances the growth of fibroblast-like cells serived from neurofibrome."
• [文献書誌] Tetsuya Tsuchida,Fujio Otsuka,Yasumasa Ishibashi et al.: "Neurofibromatosis and Tuberous Scherosis″Ganglioside in neurofibromas neurofibrosacomas of Recklinghausan disiase″" Elsevier Science Pablishers, (1990)