研究概要 |
肝細胞癌を治療を治療する上で, 又その伸展を阻止する上で, 腫瘍の門脈内浸潤ならびに腫瘍栓形成は, 大変重要な意味を持っている. 門脈の本幹や一次分岐が腫瘍栓により閉塞している例では, 肝切除や肝動脈塞栓術は適応外となり, 効果的な治療法のないのが現状である. このような症例に対して, 血管カテーテルを用いて何らかの積極的, 効果的治療法を開発するのが本研究の目的である. そこで次のような治療法の開発研究と, その臨床応用を行った. 1.バルーンカテーテルを用いた一時的血流遮断下抗癌剤動注療法Balloon occluded arterial infusion(BOAI)の開発. この方法は先端のバルーンの付いた二重の内腔のあるカテーテルを肝動脈内に挿入し, バルーン膨張により一時的に血流を遮断した上で抗癌剤水溶液を注入するもので, 抗癌剤は血流に稀釈されることなく高濃度のまま腫瘍あるいは, 腫瘍栓に到達し, しかもその部に滞留し作用するという利点がある. (1)動物実験にて安全性の確認を行った. (2)^<133>Xeにより, 上記メカニズムの実証を行った. また(3)門脈が腫瘍栓により閉塞されている臨床例86例に応用し, その治療効果及び, 安全性について検討を行った. その結果30.3%の有効率を得た. 2.BOAIにて, 効果のなかった症例に対する処置として, 門脈的にてLaser照射を行い, 腫瘍栓を蒸散, 焼灼する計画を立てた. Trimedine社製Yag Laser(Model1000)を購入したが, 稼働するまでに期間を要して, 未だ, 基本的検討を行っている段階である. 即ち(1)Laser probeの門脈内挿入法, (2)Probeの種類の検討, (3)門脈内腫瘍栓の焼灼蒸散に適した大きさと形の接触型Probeの開発などの段階であり, 多くが今後(63年度)の研究課題として残されている.
|