研究概要 |
1.サーカディアン・リズム位相前進・後退モデルに対する高照度光照射の効果. 環境明暗サイクルの周期を同調可能な範囲内で,24時間から短縮すると, ラット行動リズムの位相は明暗サイクルに対し後退し,延長するとリズム位相は前進する. 行動は睡眠,自発運動,飲水,体温を計測した. 今年度は基礎的検討として明暗サイクル周期の最適条件を求め,後退モデルでは23時間20分,前進モデルでは28時間であることを確めた. 更に後退モデルでは短日にするとリズム位相後退が一層著しくなることを認めた. これは冬期うつ病のモデルと見なし得る. 5000〜10000ルックスの高照光を30〜60分,サーカディアン・リズムの種々の位相で照射して,リズム位相がどう変化するかを検討中である. 63年度の中期までに後退モデルについての実験が終了する予定である. 2.時差モデルに対するトリアゾラムの再同調促進効果. 12:12時間に明暗サイクルの位相を急に6時間前進させ,ラット行動リズムが再同調するまでの日数を指標とした. 明暗サイクルの移行期の種々の時刻にトリアゾラムを1回注射して再同調に要する日数がどう変るかを検討し,もっとも短くする投与時刻を検討中である. 63年度中期にこの実験が完了する予定である. 予備的検討ではトリアゾラムの最適投与量が5mg/ラットであることが判明した. トリアゾラム注射によって体温が4〜5℃一過性に低下し,これがサーカディアン・リズムの位相変位に重要なのではないかと思われる興味深い知見を得て,現在検討中である.
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