研究分担者 |
山下 孝之 東京大学, 医学部, 助手 (10166671)
西本 育夫 東京大学, 医学部, 助手 (80180652)
峯 徹哉 東京大学, 医学部, 助手 (20157572)
貴田岡 正央 東京大学, 医学部, 助手 (20153091)
松本 俊夫 東京大学, 医学部, 講師 (20157374)
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研究概要 |
情報伝達系不全に基づく病態を解明する目的で、以下の検討を加えた。1.情報伝達系の基礎的検討:(1)肝細胞におけるグルカゴンによる細胞内Ca^<2+>の上昇が細胞外からのCa^<2+>の流入と細胞内Ca^<2+>プールからの動員の両者に基づくこと(Acta Endocrinol.119:301,1988)、細胞内Ca^<2+>上昇作用の少なくとも一部はcAMPの上昇を介さないで発現することを示した(Biophim.Biophys.Acta 970:166:1988)。(2)脳下垂体細胞を用いsomatostatin によるK^+チャンネルの抑制に、GTP結合蛋白が関与することをGTP注入実験により明らかにした(Proc.Matl.Acad.Sci.USA 85:4924,1988)。また、下垂体からのホルモン分泌に細胞膜Ca^<2+>チャンネルが重要な役割を果たすことを示した(Am.J.Physiol.255:E137,1988)。(3)副甲状腺ホルモン(PTH)。遺伝子の発現が1,25水酸化ビタミンD_3により調節されることを示し(J.Biol.Chem.263:2203,1988)この調節に関わる5′領域を同定した。2.成長因子の作用機序:(1)IGFーIIの細胞増殖促進作用の発現にCa^<2+>の細胞内への持続的流入の促進が関与することを初年度の研究により明らかにした。更にこの作用がIGFーII受容体との結合を介しておりその結果Ca^<2+>流入およびDNA合成の促進がもたらされることを見出した(Biochem.Biophys.Res.Commun.154:9,1988)。また、IGFーII受容体と共役して活性化されるCa^<2+>チャンネルの存在も示した(Am.J.Physiol.255:C442,1988)。しかもIGFーIも同様にCa^<2+>流入の促進を介して増殖促進作用を発現することを明らかにした(J.Biol.Chem.263:16561,1988)。(2)悪性腫瘍からはPTH様因子が産生され、これが高Ca血症の発現に関与している。我々は、PTH様因子が単一ではなく、異なる作用を持つ類似因子作用の総和としてその病態がもたらされること(Endocrinology 1989,in press)HTLV-1ウィルス感染と関わりある成人T細胞白血病も同様の病態を示し(Arch,Int.Med.148:921,1988)同ウィルス感染細胞株がPTH様蛋白のmRNAを発現しPTH様因子を分泌することを見出した(Biochem.Biophys.Res.Commun.154:1182,1988)。
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