研究課題/領域番号 |
62440049
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山路 徹 東京大学, 医学部・附属病院, 構師 (30010143)
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研究分担者 |
山田 信博 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40200729)
北村 聖 東京大学, 医学部・附属病院, 構師 (10186265)
岡部 哲郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80169135)
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 構師 (90181130)
高久 史麿 国立病院, 医療センター, 病院長 (40048955)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1990
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キーワード | 造血因子 / 好中球減少症 / コロニ-刺激因子 / 白血病 / 骨髄移植 / 再生不良性貧血 |
研究概要 |
GーCSFは顆粒球系の前駆細胞に働いてその増殖・分化を促進なるばかりでなく、骨髄からの成熟好中球の流出、末梢毛細胞血管壁への付着、血管から組織への移動、さらに成熟好中球に有している様々な機能に対して促進的に働くことが明らかになった。したがってGーCSFはin vivoではin vitroの培養系で示されたよりもはるかに多彩な影響を好中球系の細胞に及ぼし、好中球の感染に対する防御機能を亢進させるように働くと予想された。臨床的には様々な場合にGーCSFの有用性が確認された。抗癌剤の副作用の中で最も頻度が高い好中球減少症、さらにその結果起こる感染症をGーCSFの投与によって、予防ならびに治療し得ることが明らかになった。GーCSFの臨床への導入によって抗癌剤を従来よりも大量にかつ安全に使用し得ると結論された。この場合に問題となるのがGーCSFやGMーCSFが癌細胞を増殖させないかという点であるが、我々の検討によって、少なくともGーCSFは固形腫瘍の悪性細胞の増殖を促進させる可能性は低いと考えられた。骨髄移植後の骨髄減少症に対しGーCSFを用いた場合にも、GーCSFは好中球数の回復を促進し、感染症に対する発症頻度を減少させることが証明された。再生可良性貧血や骨髄異形成症の患者でも好中球減少は必発の所見であり、これらの患者に対してもGーCSFの投与が有効である症例が多く観察された。一方、難治性の白血病においてはGーCSFと抗白血病薬を同時に投与し、白血病細胞の薬剤感受性を高めて白血病を治療する試みを行った結果、約半数例に完全寛解が得られた。また、GMーCSFやMーCSFについても臨床的有用性を検討し、一部の症例においてこれらの効果を認めた。これらのCSFでは抗腫瘍作用も認められ、今後の活用が期待される。
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