研究課題/領域番号 |
62440051
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岡留 健一郎 九州大学, 医学部, 講師 (00127995)
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研究分担者 |
板阪 英俊 九州大学, 医学部, 医員
島田 光生 九州大学, 医学部, 助手 (10216070)
竹中 賢治 福岡市民病院, 主幹 (30117155)
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キーワード | 肝臓移植 / 臓器保存 / 血流波形 / 拍動型肝灌流 / 移植後予後判定指標 / ATP合成能 / 血中LCAT活性 / アンモニア濃度 |
研究概要 |
1.流速波形を考慮した拍動型肝灌流の研究: 仔豚を用いた肝臓移植における摘出肝の長時間保存における研究として、血流波形を考慮した拍動型肝灌流法の意義について検討した。本灌流装置にて、III型血流波形(III型群)とO型血流波形(O型群)の条件下で8時間灌流保存し、その効果を単純浸漬8時間保存群(単純群)、新鮮肝群とで比較した。(1)、拍動型肝灌流にて保存した群においては、単純群に比し、術後生存率において差がなかった。(2)、術後第8因子関連抗原濃度から見た血管内皮細胞の保存は、灌流保存中においても新鮮肝群と差は見られず、比較的良好と考えられた。(3)、拍動流のうち、O型群において、III型群より保存中のプロスタサイクソン産生が多い傾向が観察され、O型波形による灌流は、臓器内血管内皮細胞の機能保持に関与していることが確認された。 O型群においては、術後生存率の向上は認められなかったが、第8因子関連抗原とプロスタサイクリン産生能からみて、血管内皮細胞は機能的によく保持されていた。今後、本灌流保存装置のさらなる改良と灌流液の改良により移植後の生存率も改善されるものと考えられる。2.移植肝のviability 判定指標に関する研究: 現在までに、移植肝のATP合成回復能と、移植後の血中LCAT活性が、術後の予後判定指標として有用であることを報告した。今回さらに、以下の指標も有用であったので報告する。(1)、移植直後に血中アンモニア濃度を測定すると、新鮮肝移植犬では8時間保存肝移植犬に比し有意に低かった。このアンモニア濃度は、肝組織内ATP量、胆汁産生能等と有意に相関し、移植直後のviability判定指標として有用であった。(2)、肝灌流液中の肝逸脱酵素(GOT,GPT,LDH)とアンモニア濃度は、新鮮肝群と保存肝群とにおいて有意差を認め、移植直前にviabilityを知る指標として有用であった。
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